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古巻 和芳(こまき かずふさ)

プロフィール

1967年兵庫県生まれ。神戸大学経営学部卒。2006年に大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレで「繭の家-養蚕プロジェクト」を展開して以降、国内各地で土地固有の記憶を題材として、古民家や廃校、遊郭、港湾などを舞台としたサイトスペシフィック型の作品を制作。2017年以降は、実家の家業が着物屋だったことに想を得て、桑材の木像と生糸を組み合わせた作品を発表している。2008年ブルーメール賞。

宝塚のおすすめスポットは?

私の生まれた宝塚市の南ひばりガ丘という地域には、最明寺川という小川が流れていました。小学生の時は、友達とよくこの川で魚取りをしたものです。50歳を過ぎた今もこの近くに住んでいますが、最近はここで川遊びをする子供の姿を見かけることはほとんどなくなりました。
さて、この川の最上流部には最明寺滝という、全然観光地化されていない名所があります。ここに行くには、阪急山本駅から歩くのがよいです。道中はハイキングコースとなっていて、駅から歩くことたった10分ほどで緑陰が美しい山道に入ります。今回、この文章を書くため、梅雨明けの晴れた日に久しぶりにこの道を歩いてみました。川面から吹く風はひんやりしており、山道に入ってから10分程度で最奥部の滝に辿り着きます。この日は先日までの雨のせいで水量が多く、轟音が周囲を圧していました。滝の真正面に立つと、風圧とともにミストを体全体で受け止める形になり、本当に気持ちが良かったです。夏の雨上がりの晴れた日。そこが狙い目だと今さらながら気がつきました。
滝のすぐ脇には岩の割目をそのまま生かした祠があって、その中に不動明王の石像があります。高さ1mに満たない小さな像です。足は短く、どことなく愛嬌のある造りですが、ちゃんと刀を握り、背中には炎を背負っています。宝塚市国際観光協会のHPには、「鎌倉時代、北条時頼が出家して最明寺入道を名乗り、この滝で修行をしたという由来から最明寺滝と呼ばれています」と書いてあります。この石像がいつ頃、誰によって作られたのか、私は知りませんが、この岩室に鎮座する石像を彫った作者を私は羨ましく思いました。霊気あふれるこの場所に自分の分身とも言えるこの作品を置くことを恒久的に許されたのですから。
最明寺滝から駅のほうに少し戻ってから北への分岐道へ経て山道を登ると、20分ほどで満願寺に到着します。こちらは奈良時代の創建で、山門には古い仁王像が二体あります。最近、境内にカフェができました。お勧めは、精進料理のランチ。緑を眺めながらテラスでいただくと最高です。ここまでの所要時間は山本駅から2時間程度。帰りは、満願寺から阪急雲雀丘花屋敷駅までバスがあります。体力に自信のない方は、雲雀丘花屋敷駅を起点にして、バスで満願寺まで登って、そこから最明寺滝方面に下れば楽ちんです。宝塚市民でも意外と知らない人が多いので、ぜひ、一度歩いてみてください。